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  • 執筆者の写真秀夫 小針

1980年の高値を抜き過去最高値となった金

2020/04/27


東京金相場は、4月17日時点で一時5997円まで上昇し、6000円の大台に迫った。週末24日も5995円まで上昇して、6000円に再トライする状況である。6000円を突破するなら、東京商品取引所で金取引が開始されて以来はじめてのことである。

国内最大手地金商の田中貴金属の税込み金小売価格は4月24日に6636円となり、史上初めて6600円台をつけた。これまでの最高値記録が1980年1月の6495円であったことからすると、それより100円以上も上回ってきた。

国際指標のNY金は、4月14日に1788ドルまで上昇して8年ぶりの高値をつけた。過去最高値は2011年の1923ドルであるが、この高値を意識しつつある。

これからの金相場は引き続き上昇の傾向を維持する公算が強い。新型コロナウイルスの影響で景気がダウンし、株価の先行き不安が広がる中、投資資金が安全資産としての金に向かい続けるものと考えられるためだ。なお新型コロナウイルスの拡大が深刻化するニューヨーク州では、3月22日からロックダウンが始まった。この影響もあって米国景気は急激に悪化し雇用情勢も良くない。米労働省が発表した3月の雇用統計は、前月比70万減少した。就業者の減少は2010年9月以来9年半ぶり。失業率は4.4%と前月から0.9ポイントも悪化した。新型コロナウイルスの影響で雇用情勢は一段と悪化しており、4-6月の失業率は10%を超えることは必至である。

米国の景気悪化に乗じて、米国の金融政策が利下げに動いたことも金市場にとっては押し上げ要因である。利下げとともに、金利のつかない金市場に対する投資資金の流入が加速するためだ。

米連邦準備理事会(FRB)は3月15日に政策金利を0~0.25%に切り下げた。また、米国債などを買い入れ、市場に資金を直接供給する量的緩和を始めるとした。FRBは、3月3日の緊急会合後に0.5%の利下げを実施していたが、通常の政策会合以外で利下げを実施したのは、2008年の金融危機以降で初めて。「経済の概況は、新型ウイルスの拡大を受けて日ごとに変化しており、影響は計り知れない」と、パウエムFRB議長は述べている。

今後の金相場の見通しだが、すでに、NY金は1800ドル目前まで上昇しているが、これはゴールドマン・サックス・グループは金相場見通し1800ドルの実現がほぼ達成されたことを意味する。今後、同社が一段と高値予想を引き上げる公算が強い。

またバンク・オブ・アメリカは、コロナウイルスの感染拡大が世界的なパンデミックになった場合、金価格は2000ドルに上昇する可能性があると予測。

さらに加えて、貴金属専門ウェブサイトKitocoが伝えたところでは、BOAの27日付のリサーチノートは、セーフ・ヘイブン(資金の逃避先)としての需要と債券利回りの低下が金価格を引き続き支える見通しだとした。

なお参考までに、キトコなどの貴金属に詳しい情報元によると、欧州と米国の個人投資家はこの2週間、世界的な株安と多くの通貨の急落から財産を守る狙いで金の延べ棒や硬貨を買いあさる動きが急だという。ドイツの貴金属小売会社デグサのマルクス・クラールCEOは、金地金と金貨に対する顧客の需要を満たすのに苦労しており、卸売市場に頼ることを余儀なくされているという。需要は現在、通常の日の取扱量の5倍にも達しているとも伝えている。



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