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  • 執筆者の写真秀夫 小針

米大統領選挙に絡んだ株安・金安のシナリオを考える

2020/10/3

11月3日の米大統領選挙まで残すところ、ひと月となった。二大政党の全国大会が開かれ、共和党はドナルド・トランプ大統領、民主党はジョー・バイデン元副大統領を候補として指名した。

トランプ大統領に、米国内の評価は真っ二つに分かれている。トランプ氏は、ひたすら支持基盤である保守派が好む政策を推し進めてきた。一国主義を掲げ、カナダやメキシコ、EU、中国には、関税を武器に強い態度で貿易交渉に臨んだ。オバマ政権の「遺産」である環太平洋パートナーシップ協定(TPP)やパリ協定からも離脱、経済界の意向を優先し、環境規制の緩和や、法人税の引き下げなどを行った。

対する民主党のバイデン候補は、オバマ政権の副大統領として知られる。1972年に、29歳という若さで連邦上院議員に当選してから、ずっと政治の世界を歩んできたベテラン。政治経験なしで大統領に当選したトランプ氏とは対照的。保守派とも協力して法案を通せる手腕は評価されるが、党内の革新派からは人種問題などへの意識が時代遅れだとの批判もある。

さて、このような状況の下、大統領選挙に絡み、金市場、株式市場など、金融市場全体がどのような影響を受けるのかに関心が寄せられている。

KITCO(貴金属の情報・分析・サービス会社)のマーケットアナリスト・デビットリンによると、「市場は、大統領選挙の前に大きな修正が見られるだろう。クラッシュする可能性が非常に高い。通常、クラッシュする前にポートフォリオが正常に動作しない、いわゆる市場の機能不全を経験するであろう。今後数週間のうちにで25%以上の市場売却が行われるのではないか」と分析。このような「フラッシュクラッシュ・シナリオ」では、ほとんどの資産は正の相互相関を持ち、一斉に落ちる傾向があるという。「今年3月のクラッシュのときと同様、多くの資産が叩か、多くのマージンコールが発生するであろう。そのときは、金が大きく売られ、またビットコインも同じように売られた。市場が暴落したときに、マージンコールを受けるのは多くの投資家であり、悪循環を引き起こすであろう」と指摘している。

参考までに、株価と金との相関について、過去の歴史からすると、「株高のときは金安・株安のときは金高」という関係性にある…という、一つの定説があったが、結論からすると、そのような逆相関となる歴史的な場面はみられるものの、決して、一律で関係が成り立つわけではないことが分かり、その多くは、必ずしも、はっきりとした法則があるという結論を導き出すのは難しい。事実、2005年から現在まで過去15年間において、株価と金価格との相関係数は0.477であり、正相関でも逆相関でもなく、関連性がない、あるいは無関係という数値になっている。

ただし、新型コロナウイルスの感染が広がり始めた2020年3月から直近9月末までの超短期においての相関係数は0.919と極めて高い正の相関となっており、ほぼ符号した関係性である。これだけ高い相関係数となると、「両者は一致している」といえる。つまり、今年3月以降、株価と金市場のマネーの流れはほぼ一致しているといえるわけで、今後、NYダウが大きく上昇した場合は金も上昇し、逆に、株価が急落した場合には、金相場も連動して急落するリスクを抱えているという見方が導き出される。



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