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ゴム相場はコロナ危機が一巡して2カ月ぶり高値

  • 執筆者の写真: 秀夫 小針
    秀夫 小針
  • 2020年5月24日
  • 読了時間: 2分

2020/5/25

東京ゴム先限相場は5月21日の時点で一時157.6円まで上昇し、4月上旬の安値138.3円を起点として20円以上の値上りとなった。またこの上昇で3月中旬以来、ほぼ2カ月ぶりの高値圏に達した。世界最大の天然ゴム消費国である中国や、米国などにおいて自動車生産が再開されて、新車販売もこれから回復に向かうことで、タイヤ向け需要が増えるとの観測から買いが優勢となった。

ゼネラル・モーターズ(GM)など米自動車大手3社は18日、北米での自動車生産を約2カ月ぶりに再開。タイヤ向け需要が増えるとの期待が広がった。米国では経済活動が再開され、人の移動が増えるため、新車用タイヤの受注も徐々に伸びる公算が強い。

別な角度では、原油需要の回復への期待や、主要産油国による減産の進展により、原油相場が持ち直していることも支援材料となった。競合する合成ゴムの原料コストが上昇したことも連動高につながっている。

また国内の場合、タイヤ工場は、4月にはほとんど通常通り稼働している。海外においても、中国のゴム産業は、2月から大減速で、4月から徐々に回復。これにより天然ゴム、合成ゴムのアジア相場を押し上げる効果につながっている。合成ゴムの原料であるブタジエンのアジア価格は、原油価格下落に影響もあり、1月には㌧ン当たり950㌦だったものが、5月価格は同350㌦となっているため、今後は値ごろ買いが急速に拡大する期待がかかる。

欧州のゴム工場、タイヤ工場は3月下旬から次々に停止し、特にフランスとイタリアは、政府の命令で、基本的には工場が停止した。またドイツ、ハンガリー、ポーランド、ロシアの欧米系のタイヤ工場も3週間ほど停止。しかしながら、4月末になると、これらの工場が続々と操業開始したことで、コロナ危機はようやく脱却しつつある。

米国のゴム、タイヤ工場は4月になると、欧州の後を追い、大手タイヤメーカー、自動車ゴム部品工場、自動車工場は停止、。全米タイヤ製造者協会の4月24日の発表によると、2020年のタイヤ出荷量は2019年比で新車用乗用車タイヤが24%減、交換用乗用車タイヤが17%減、ライトトラックが17%減、その他トラックタイヤが7%減になると予想。しかし興業再開が秒読み段階に入ってきたことで、先行きは回復期待が広がっている。

一方、一時はマイナス相場となっていた原油相場が回復基調となっているうえ、金やプラチナといった希少金属が急上昇していることなどが心理的なサポートとなり、ゴム市場にも連想買いが入ってくる期待がかけられる。今後は最悪期を脱して、少しずつ底上げトレンドを鮮明とさせる可能性が高い。



 
 
 

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