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リヒテンシュタインの運用会社が金価格は4800ドルまで上がると予測

  • 執筆者の写真: 秀夫 小針
    秀夫 小針
  • 2020年6月19日
  • 読了時間: 3分

2020/6/19

 スイスを中心とした中央ヨーロッパでは古来から金地金、金貨の取引が盛んでいる。スイス、オーストリア、リヒテンシュタインでは、銀行で金貨を簡単に購入することができる。金地金は、グッド・デリバリー・バー400トロイオンス(12㎏)のほか、様々な種類、重さのバーが存在し、取引が普通に行われている。また、金貨と異なり額面が無いコイン状のGold Roundという地金も存在する。政府の信任が無いので値段も金貨より低く、コレクションとしての価値も低い。

 この金取引で伝統ある中央ユーロッパに、スイスとドイツ、オーストリアに囲まれた国にリヒテンシュタインがあり、この国の有数の資産運用会社にインクリメンタムがある。同社のアナリストは、「金相場は今後、2030年までに少なくとも1オンス=4800㌦に上昇する可能性がある」との見方を示した。

 さらに金価格の見通しとして、「慎重なシナリオに基づいた見方として4800㌦まで上昇する見通しで、より大胆な見方に基づくとつらに金価格は上がるだろう。世界の債務やインフレの状況次第で見通しは変化する」とした。さらに、「特に、新型コロナウイルスの影響もあり、世界の債務残高が増加しており、これに対処するための施策導入の結果、向こう10年間は債務の悪化が懸念される。また主要国の中央銀行による量的緩和も、長期的にはインフレをもたらし通貨価値の低減につながる可能性がある。これらの状況、要因は金価格の押し上げとなる」と指摘した。

  最も強気な金価格の見通しは、「通貨供給が1970年代と同じ程度膨張するとの前提に基づく、シナリオに基づけば、金相場は8900㌦付近までの上昇もあり得る」とした。

 事実、米国や日本の状況をみて明らかなとおり、新型コロナウイルスによる緊急対策措置として大掛かりな金融支援策が打ちだれている中、国債を発行するなどの手段により、2008年以降から続いた大掛かりな量的緩和策が打つ出されていることは周知の事実である。この結果、通貨価格は大きく低落する状況にあり、それに対するリスクヘッジとしての金の価値が押し上げられている。

 参考までに、米国通貨供給量は3月20日の週の4兆1365億㌦から、わずか9週間でプラス9297億㌦と約23%増加し、5月22日の週には5兆662億㌦まで膨らんでいる。 米連邦準備制度理事会(FRB)は10日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、金融政策の現状維持を決定。政策金利は年0・00~0・25%と事実上のゼロ金利に据え置くとともに、米国債などを大量購入して市場にお金を流す「量的緩和」を継続し、新型コロナウイルス感染拡大に伴い急激に悪化した景気の回復を後押しする策を決定した。

 英国でも中央銀行イングランド銀行(BOE)は18日、量的金融緩和の拡大を決定、資産購入枠を1000億ポンド(約13兆4千億円)増やし、総額7450億ポンド(約100兆円)とした。

 日本においても、日銀が、コマーシャルペーパー(CP)・社債の買い入れと新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペを合わせた資金繰り支援特別プログラムの総枠を110兆円超とし、従来の75兆円から大幅に拡大する措置を取っている。また過去最低の年0.1%としている主要政策金利は維持する。




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