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  • 執筆者の写真秀夫 小針

上昇を続ける米株価の一方で金は上昇にブレーキ

2020/8/28

米国金融市場では、ナスダック総合指数が一本調子の上昇となり8/27には一時1万1730まで上昇して史上最高値を更新中であり、S&P500も同じ8/27には3501まで上昇して今年2月の高値を抜いて年初来最高値と史上最高値を同時に更新した。この状況の中、新型コロナウイルスの影響で今年3月に一時18213㌦まで急落していたNYダウは8/27に2万8634㌦まで上がり、その直近安値からわずか5カ月で1万ドルを超える急騰になるとともに、今年2月の高値2万9568㌦を射程圏内に入れてきた。NYダウもナスダックやS&Pと同様に最高値をつけるのは時間の問題である。

快調な株式市場とは裏腹に、急騰していた金価格はここにきて急ブレーキがかかっている。国際指標のNY金は8/7に一時2089㌦まで上昇して史上最高値をつけたものの、買われ過ぎから既存買い方ファンドの手仕舞い売りが主導し、テクニカルに下落する場面を迎えている。今のところ直近の上げ相場の値幅に対し、3分の1押しが達成されたが、ここで下げが一巡したと見るのは早計で、今後一段下げとなって高値から2分の1押しとなる可能性があることは否定できない。

またプラチナ価格も先行きが不透明である。同じ希少金属であるプラチナは、世界的な景気後退によるプラチナ消費の減少見通しを背景に下げ基調が続いていたが、今年3月の安値562㌦を底として上昇トレンドに入り、8/7には1035㌦まで反発した。しかし、今年1月の高値1046㌦を上回ることができず、基本的な相場トレンドが上向きに転換したと判断するには時期尚早である。

一方、エネルギー部門では、NY原油が40ドルを少し上回った水準で横ばいの推移が続いている。OPECと非加盟国とが協調して減産体制を維持しているものの、依然として新型コロナウイルスの影響による燃料需要が停滞しているため、なかなか需給が改善できないことがベースにある。

しかしながら、長期的に安値で推移していた天然ガス相場が大きく上昇していることは注目される。NY市場のLNG相場は、今年3月と6月の安値で1.5ドル台にてダブルボトムを形成すると、8/27には一時2.7ドル台まで上昇を強ている。

この天然ガス相場上昇の背景には、台風による精製施設の被害の懸念がある。米国南部に間もなく上陸する見通しのハリケーン「ローラ(Laura)」は26日、5段階で上から2番目の「カテゴリー4」に勢力を強めた。カテゴリー4は「非常に危険」な勢力とされ、米国立ハリケーンセンターは最大6メートルの「生存不能な」高潮が起きる可能性を警告。テキサス州やルイジアナ州の沿岸地域では数十万人に避難命令が出された。

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