top of page
  • 執筆者の写真秀夫 小針

低迷していたプラチナ相場が上昇に転じる

低迷していたプラチナ相場が上昇に転じる

2020/6/1


5月28日現在のNY市場において、金の終値は1676㌦。これに対しNYプラチナは868㌦。両者は、金の方がプラチナより808㌦高く、プラチナよりほぼ2倍も高い値段がついている。そもそも、金とプラチナは、その需給規模からして、プラチナのほうが希少性は高く、古来から、プラチナ高の金安という流れが続いていた。金の年間需給規模が約4000㌧であるのに対し、プラチナの需給規模は250㌧しかなく、数字からすると、プラチナのほうが金の16倍の価値がある。

最近のプラチナ相場は、下げ過ぎの反動から状況に転じ、3月の安値562㌦を起点として5月20日には一時943㌦まで上昇して1000㌦を意識するレベルまで反発した。しかし、金との格差は縮まらず、プラチナの上昇以上に金の上げが急であるため、この両者の格差は開いたままである。

もともと、プラチナ需要の多くは、自動車触媒向けが占める。新型コロナウイルスの影響で、世界的に新車販売台数が大きく落ち込んだことから、触媒用のプラチナ需要にも強い悪影響が及ぼされた。

ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)によると、2020年1~3月期のプラチナ需要は164.9万オンスで、前年同期の264.9万オンス、前期の174.2万オンスを大きく下回った。新型コロナウイルスの影響は、予想されていた以上に大きく、破壊的といえるほど産業素材の消費を冷え込ませ、この流れにプラチナも逆らうことはできなかったのである。

4月以降、最近までプラチナ相場が反発しているのは、前述のとおり、下げ過ぎの反動に伴う自律的な調整高にあると考えられる。また徐々にではあるものの、経済活動の正常化が始まっていることが指摘できる。自動車生産に関しては、中国では3月、欧州では4月、北米では5月に工場の再開報告が増えている。この状況は、プラチナだけに限った話ではなく、産業素材全般、あるいは経済全般にも共通していえる点である。

新型コロナウイルスは需要の減退という悪影響をもたらしたが、その一方、供給にもマイナス効果を及ぼした。新型コロナウイルスの影響で感染防止ということで、鉱山労働者が自宅待機となったことで、プラチナ鉱山の一部は生産停止に追い込まれた。特に南アフリカは首都圏が長期間ロックダウンとなったことで、労働力は深刻な事態に見舞われたのである。更にまた、2月には、アングロ・アメリカン・プラチナで鉱石の製錬を行うコンバーター・プラントで爆発事故が発生、予定外の補修作業を求められたことも、鉱山生産を止めた。

先のWPICによると、2020年1~3月期のプラチナ生産高は177.3万オンスで、前年同期の188.1万オンス、前期の218.3万オンスを大きく下回ったとしている。ロシアやジンバブエの生産は安定供給が確保されたものの、南アフリカは比較的大きな減産を余儀なくされたのである。





閲覧数:8回0件のコメント
bottom of page